「こうまるさん」と親しまれる緑豊かな寺
光丸山法輪寺は、正確には「光丸山」と「法輪寺」の二寺の総称である。
法輪寺は、貞観2年(860)に慈覚大師円仁がこの地を巡った時、
夢に釈迦・大日の二仏の尊像を見て、
寺を創建したことに始まると伝えられている。
本尊は釈迦三尊。寛元3年(1245)に後嵯峨天皇より山・院・寺号の三額を賜った。
現在、勅額門にあるのは、霊雲法親王の御染筆である。
光丸山は初院・中の院・奥の院の三院からなり、本尊は大日如来。
一般には、法輪寺も含めて光丸山と称され、
地域では「こうまるさん」として親しまれている。
境内には他に観音堂や無量堂、薬師堂、大黒天堂などの建物や、
樹齢800年と言われる西行桜などがある。
西行桜は、西行法師がこの地を訪れた時、この桜に杖をよせて
「盛りには などか若葉は 今とても 心ひかるる 糸桜かな」
と、詠じたと伝えられている。
また天狗堂には寄木造りとしては日本最大の大天狗面
(高さ2.14メートル、幅1.5メートル、鼻の高さ1.3 メートル、重さ1トン)が安置されている。
毎年11月3日(本祭り)、4日(後祭り)に光丸山大祭が行われる。
特に3日には、全国でも寺院としては珍しい神輿の渡御を行う。
広い境内を散策すると、歴史を重ねた建物と手入れの行き届いた緑が渾然となり、
安らぎと憩いの空間をかもしだしている。