農村地帯の信仰のよりどころ
栃木市郊外に位置する地福寺。
寺伝によれば嘉祥3年(850)に慈覚大師が創建したとあるが、
確かなことは伝わっていない。
「栃木市史」では長徳4年(998)に信阿上人が創建したとある。
後に焼失し、延文3年(1358)に鏡叶法印が再建したとされる
(郷土史家の日向野徳久氏の調査による)。
明治時代の廃仏毀釈により、同寺も大きな影響を被った。
その後昭和に入ってから徐々に再興され、
平成14年(2002)には本堂が再建された。
同寺は古くは圓通寺の末寺であり、
また同寺の下にさらに7寺が連なっていたと言われるが、
江戸中期以降は独立した寺となっているという。
同寺の本尊は木造の阿弥陀如来立像で、鎌倉〜室町期の作と思われる。
また地蔵堂には慶安元年(1648) に、
大老土井利勝の長男・利隆により寄進された胎蔵界大日如来が安置され、
正月・盆・彼岸だけ一般に開帳している。
境内の釈迦十三層塔と玄奘三蔵石像は平成4年(1992)に、
伝教大師像は平成12年(2000)に建立されたもので、
いずれも訪れる人の心を慰めてくれている。