天海僧正と緑深い江戸守護の寺
東泉寺の開基は慈覚大師円仁と伝えられており、
同寺に安置されている聖観世音菩薩像は、
慈覚大師の御作と伝えられ秘仏である。
聖観世音菩薩は日光の陽明門によく似た厨子に納められている。
本堂(観音堂)はこの厨子を囲む形で建てられている。
寺内には本多正純や天海僧正との関わりを
直接・間接に示す遺物が多くあり、
一説には関八州の中心部にある東泉寺を、
天海僧正が江戸の守りの寺の一つとしたのではないかとも言われている。
本尊は前述の聖観世音菩薩と御前立観音三尊。
すなわち、秘仏である聖観世音菩薩の前に観音三尊を安置し、
通常はそちらを拝跪する形式である。
同寺には徳川家康の位牌もあり、
また厨子の装飾や天海僧正とのつながりなどからも、
徳川幕府との結びつきが暗示されているという説もある。
また、観音堂入り口には鳥居が建てられており特異な姿の寺である。
境内には飛竜・竹千代の松がみごとな枝振りを見せている。
この木は樹齢500年を超えると言われている。
観音堂は市の文化財である。
向拝の龍・象・唐獅子などの彫刻は大変立派なものである。
また内部の飛竜の彫刻も、興味深い意匠である。
堂内の鳴き竜も著名である。