慈覚大師に由来する牛久地区の菩提寺
牛来寺は嘉祥3年(850)に、慈覚大師円仁によって開基した古寺である。
伝説によれば、慈覚大師が蓮華まだらの牛に乗って諸国を巡行していた折、
この地で悪病が流行し人々が苦しんでいたのを見て、
沐浴して祈ったところ人々が快癒したという。
大師は寺を建立し薬師如来を安置した。
これが牛来寺の始まりと伝えられている。
この地が「牛久」と呼ばれ、寺が牛来寺という名前であるのも、
大師が牛に乗って訪れ、苦しんでいる人々を救った、
さまざまな伝説に関わりがあると考えられる。
寺には江戸期以前のものと思われる慈覚大師坐像が安置されている。
平成になって修理が施されている。
本尊の薬師瑠璃光如来は平安時代の作とされ、県の文化財指定を受けている。
もともとは秘仏であったが、平成5年(1993)の修復をきっかけに常時開扉している。
また都賀坂東第11番(薬師)霊場、都賀坂東第23番(観音)霊場でもある。
江戸時代、牛来寺には寺子屋があっ た。
境内には亡くなった先生(阿闍梨)を生徒(筆子)が供養した墓石があり、
当時をしのばせる。
またこの寺子屋からの出火で本堂が焼けた時、
薬師堂は薬師如来の加護で残ったため、以来薬師堂を本堂としているという。
緑豊かな境内を散策すると、時の流れを実感するとともに、
仏の教えに知らず頭の垂れる心持ちがする。