源義経ゆかりの寺
観音寺は足利市山川町の独立丘陵地帯にあり、
渡良瀬川からもほど近い場所である。
戦前までは山林地で、地域の信仰のよりどころとして
尊ばれてきた寺院である。
開山などは未詳だが、歴史をひもとけば
平安の昔より霊験あらたかな聖地として知られてきたという。
鎌倉時代初期の元暦元年(1184)に、源氏の武将・源義経より
現在の本尊である聖観世音菩薩像が奉納されたと伝えられている。
また、鎌倉時代末期の正慶元年・元弘2年(1332)に、
同寺中興開山の祖である実慶和尚により法に灯がともされ、
以来600有余年に亘って受け継がれてきている。
(元号が2つあるのは、後醍醐天皇の隠岐配流の後に光厳天皇が改元したが、
後醍醐天皇の還幸によって「正慶」の無効が宣せられたため)
境内には、足利市指定の文化財である板碑がある。
由来などは未詳だが貴重な考古資料として、
昭和36年(1961)に市の文化財となっている。
同寺は春の桜並木が美しく、
近隣周辺だけでなく、遠方より観賞に訪れる人も少なくないという。